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経済

「脱原発」で息の根止まる関西電力

大幅な事業規模縮小は避けられない

2011年8月号

 遠く福島の地で上がった火の粉が自分の城を焼くことになるとは、露ほども思わなかったに違いない。東京電力福島第一原子力発電所事故に端を発する菅直人首相の一連の「脱原発」政策で、関西電力が窮地に立たされている。関電はこれまで収益性向上の観点から原発比率を積極的に高めてきたが、虎の子の原発を失えば、文字通りの死活問題につながるのは明らかだ。原発を奪われると、非効率な発電設備とだぶついた人員で、新規参入者たちと争わなければならない。待っているのは、戦後以来維持し続けた供給エリアの大幅な喪失だ。

八木社長が海江田大臣を恫喝


 福島第一事故により、東電は福島第一・第二の両原発を失ったほか、中部電力も浜岡原子力発電所の緊急停止要請が下り、虫の息になった。この間、関電は「もはや『中三社』で原発をまともに動かせるのはうちだけ」(幹部)と強気だった。そうした機運が働いたのだろうか。世の中がメルトダウンの恐怖に怯え、固唾を呑んで事故の行方を注視していた最中にあって、関電の八木誠社長は「中長期的なエネルギーの安定供給、・・・