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テロばら蒔くパキスタン軍部

暴走する部内「急進派」

2011年8月号

 インド西部の商都ムンバイで七月十三日に発生した連続爆弾テロは「三年前の悪夢」を再び蘇らせた。死者は二十一人、負傷者百四十一人と被害こそ二〇〇八年十一月に起きた同時多発テロより小さかったとはいえ、与えた衝撃は大きかった。
 現在、インド国内では、イスラム過激派組織インディアン・ムジャヒディン(IM)の犯行との見方が強い。IMは、前回のテロにも関与したとされ、パキスタンを拠点とするイスラム過激派ラシュカレ・タイバと関係の深い組織として知られている。
 インドとパキスタンは七月下旬に、三年前の事件発生以降完全に冷え込んでいた関係の修復を目指し外相会談を予定していた。このため、インド政府は今回のテロについて、パキスタンとの協議を中断させたい勢力による犯行である可能性に言及している。イスラム専門家の一人はこう断言する。
「事件の背景には、対インド融和政策を嫌うパキスタン軍部の急進派が存在する」

増加した国内爆弾テロ


 五月二日の米軍によるオサマ・ビンラディン殺害以降、パキス・・・