三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

中朝関係に横槍入れたロシア

俄かに鍔ぜり合い

2011年8月号

 北朝鮮を巡って、中国とロシアが水面下で鍔ぜり合いを始めている。北の対中依存がますます強まる中で、ロシアが横槍を入れた格好だ。しかし背景には、ロシアの「情報」と「エネルギー」に対する北朝鮮の欲望も見え隠れする。
 六月三十日、密かに準備されてきた、メドベージェフ大統領と金正日総書記の会談が土壇場で中止となった。行われていれば、実に九年ぶりとなった朝露首脳会談はなぜキャンセルされたのか。その理由について海外メディアでは「金正日総書記の健康問題」「ロシア側の警備問題」「議題に折り合いがつかなかった」などと様々な報道をしている。
 しかし、北側が流したとされる「健康問題」は、この国の最高機密であり本当であればむしろ出るはずのない情報だ。「ロシア側警備」もまたしかりだ。そして、最後の「議題」については折り合いがつかないわけがない。両国はこの日に向け、入念な打ち合わせを一月以上続けてきたのである。

目的は対中牽制


 五月十七日に、ロシア対外情報庁(SVR)の代表団が平壌を訪れ金総書記と・・・