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経済

目に余る企業再生支援機構の「悪辣」

銀行と結託して支援先を食い物に

2011年9月号

「企業再生」の美名の下、生え抜き経営者や従業員を苛め、金融機関による極大回収を支援する。国策企業・企業再生支援機構のメッキが剥げ落ちてきた。  八月三日、東京都労働委員会(都労委)が注目すべき命令を出した。日本航空(JAL)の管財人だった企業再生支援機構(西澤宏繁社長)が、JAL従業員らの二つの労働組合に対し、「スト権を確立したら、三千五百億円の出資はできない」と脅したことが、不当労働行為に当たると認定。機構から経営権を引き継いだJAL(稲盛和夫会長)に謝罪を命じたのだ。  都労委によれば、問題の発言は、JALが会社更生中だった昨年十一月十六日、機構の飯塚孝徳ディレクターと加藤愼管財人代理によって、組合との折衝で発せられた。  当時は、目前に迫った整理解雇に対し、組合がストライキを打つかどうか、組合員による投票が行われていた。その渦中に、飯塚ディレクターは、「争議権は尊重する」と前置きしたうえで、争議があると出資金が毀損される恐れがあるから、「争議権が確立されたら三千五百億円は出資できない」と発言。これに加藤管財人代理が、「出資がないと、その時点で燃油取引も含めて事業・・・