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社会・文化

再興する浅草

スカイツリーの威力

2011年9月号

 東京スカイツリーのグランド・オープンは二〇一二年五月二十二日に予定されている。〇八年七月に着工してから、現在三年の歳月が経過したが、この間、電波塔として世界一の高さ六三四メートルの躯体が組み上がるプロセスのなかで、東京スカイツリーは話題をさらい、いまや押しも押されもせぬ「東京新名所」となった。  ただ東京スカイツリーはあまりに近寄ってしまうと、単に見上げるだけでは、最上部が見えず、寝そべりでもしなければ、その全容を拝むことさえできない。そのこともあってか、建設途中から、東京スカイツリーを眺めるビューポイントはご当地押上ではなく、少し離れた場所が脚光を浴びはじめていく。七百メートルほど離れた北十間川に架かる十間橋の上、あるいは一キロほど離れた隅田川の船上から隅田公園越しに眺めるのも一興だ。そして代表的なのが、浅草。隅田川を挟んだ浅草は、電波塔の巨大さゆえに路上からのビューポイントが随所に点在し、地元をしのぐ東京スカイツリー人気にあやかっている。かつての文化の発信地であった浅草は、いまや往時をしのばせるほどの賑わいを取り戻しつつあるかのようだ。

元来ビューポイントに適した地形

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