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経済

《クローズアップ》宗岡正二(新日本製鐵社長)

厳しい世界市場で生き残れるのか

2011年10月号

 今年二月に交渉入りした新日本製鐵と住友金属工業の合併が実現に向け、一歩進んだ。新会社は新日鐵が存続会社となり、社名は「新日鐵住金」で固まった。合併比率も「一対〇・七(住金株一株に対し、新日鐵株〇・七株を割り当てる)」という方向だ。大手企業の合併で最大の難関となる社名、合併比率で合意できたことは大きな意味を持っている。合併新会社の社長になるとみられる宗岡正二新日鐵社長には大きな節目を越えたという実感があるに違いない。  

 次の関門は両社が事業を展開する主な国の競争監視当局の承認。日本の公正取引委員会の承認はすでに第一次審査を終えており、二次審査でも「まず問題がない」と関係者の多くはみている。一方、米国、中国、ロシア、韓国など関係する十カ国の競争監視当局に申請しており、その判断を待つ必要がある。  

 ただ、二〇一〇年の粗鋼生産量(世界鉄鋼協会の統計)でみると新日鐵が三千五百万トン(一部グループ会社含む)で世界四位、住金は一千三百三十万トンで十九位。合併新会社はアルセロール・ミタルに次ぐ世界二位になるといっても、世界シェアは三・四%にすぎない・・・