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経済

「無策」トヨタの 軽自動車戦略

グループ経営の稚拙さを露呈

2011年11月号

 自動車業界で軽自動車を巡る動きがにわかに活発化している。国内自動車販売の低迷が続く中にあっても、税制や高速道路料金などのランニングコストが安い軽市場は堅調に推移している。さらに税制面での優遇策がない海外でも、新興国を中心に低価格で燃費に優れた軽自動車が注目されはじめた。かつて国内専用規格だった軽自動車が、新興国向けの「戦略車」としてグローバルで通用する時代になったのだ。そうした中で、トヨタ自動車が一人、軽自動車戦略の「無策ぶり」を露呈しており、「上げ潮」から取り残されている。軽自動車を自社生産するホンダや三菱自動車はもちろん、トヨタ同様、もともと軽を持たなかった日産自動車も積極的な動きをみせているにもかかわらず、トヨタは姑息にOEM(他社製品の自社ブランド化)販売を始めただけだ。

手のひら返しの「軽参入」

「これからの日本車メーカーは先進国向けの電気自動車(EV)と新興国向けの軽自動車が国際戦略の二本柱になる」。国産車メーカー幹部は異口同音にこう予想する。「どちらも日本車メーカーが圧倒的な競争力を持つ分野。十年後には両者で『自動車王国ニッポン』が復活する・・・