三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

民主党が歪める公務員制度改革

「密約」を結び自治労に跪く

2011年12月号

 TPP問題や原発処理など多くの懸案を抱える野田佳彦政権が、混乱の中でも今国会での成立に固執する「国家公務員給与削減法案」をめぐり、政権と公務員組合(自治労など)との密約説が浮上している。政権にとっては、自民、公明両党が対決姿勢を強め、来年早期の解散総選挙の現実味が増す中、集票マシンである大労組との関係強化は文字通りの「命綱」。一方、公務員組合の狙いは給与削減とセットでの実現を目指す公務員制度改革での権限拡張だ。ずぶずぶに裏取引を繰り返す両者の野合は公務員制度改革を歪めるばかりか、政権運営の混迷も深めるという皮肉な結果を招きそうだ。

労働基本権回復は自治労の悲願

「国家公務員の給与の引き下げについて、今日、閣議決定を行った」。片山善博総務相(当時)は六月三日、国家公務員の給与を平均七・八%カットする「国家公務員給与臨時特例法案」決定後の会見でこう胸を張った。  同法案は東日本大震災の復興財源捻出を目的に、二〇一四年三月末までの間、月給を五~一〇%、ボーナスを一割カットする内容。公務員は、自分の勤務条件に関して当局と交渉して協約を結ぶ「協約締結権」が認めら・・・