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WORLD

ユーロ圏「改組」は避けられない

独仏による救済はもはや「無理」

2011年12月号

 ユーロ圏の危機が、ついに本丸に迫った。ユーロ圏の最後の砦・ドイツとフランスにも、債務危機の大波が押し寄せ、ヨーロッパの「セーフ・ヘイブン」が消滅する情勢だ。  ユーロ圏には、単一通貨圏の分割、債務超過国の切り離し以外に生き残りの道が残されていないが、この段階に至っても欧州各国の首脳たちは、ユーロ救済の方策で深刻な対立を抱えている。瀬戸際に立つ単一通貨の存亡は、政治家たちの決断が先か、市場の決定が先かという、緊迫の局面に差しかかっている。

ドイツの孤軍奮闘にも限界

 ギリシャ、イタリア、スペインと三カ国の政府を吹き飛ばし、「ヨーロッパ売り」が国債、株式、外国為替市場を席巻した十一月。日米が「勤労感謝の日」休暇に入り、比較的穏やかだった二十三日、ドイツ時間の午後一時過ぎに流れた一報は、欧州中のディーリング・ルームを恐慌に陥れた。ドイツ国債(十年物)の入札が大幅な札割れになったのだ。募集額六十億ユーロに対して、応札額はわずか三十六億ユーロ。実に三分の一以上が売れ残った。「ユーロ危機、ドイツ上陸」を思わせるニュースに、午後は各国国債や欧州金融株がパニック売り状・・・