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経済

加速する「産業空洞化」の深刻度

製造業はもう元に戻らない

2011年12月号

 ベトナムの首都、ハノイ郊外。水田や野菜畑が広がる田園地帯のなかを真新しい舗装道路が走る。道路沿線で目立つのは工場が集中して立ち並ぶ工業団地。住友商事が開発したタンロン・、・やノイバイ、ホアラックなどの工業団地だ。ハイフォンまで足を延ばせば野村證券の開発したベトナムで最初の外資向け工業団地もある。  この半年、そうした工業団地に異変が起きている。日本の中堅・中小企業からの用地購入の申し込みが殺到、大半の工業団地が売り切れ状態になったのだ。日本企業のベトナム進出は過去十年、着実に増えてきたものの、大半はキヤノン、ホンダ、日本電産、YKKなど大企業中心で、部品や加工専門の中堅・中小企業の進出は限られていた。それが様変わりし、中堅、中小企業の進出ラッシュが起きているのだ。  ベトナムに進出した日系企業の数は現地の日本商工会加入社だけでも今年六月には一千社を突破、一年間で百社以上も増加した。その四分の三以上が中堅・中小企業で、「工業団地の拡張が進み、用地の手当てさえつけば中小企業の進出は今の数倍の勢いになる」と現地の商社関係者は指摘する。

片道切符の「移住型進出」

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