三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

「ジリ貧」第一生命に経営危機説

株式上場「失敗」の重過ぎる代償

2011年12月号

「経営側は営業職員、つまり生保レディの給与をごそっと減らそうとしている。大反発する組合との話し合いは全く進展していないが、経営側は何が何でもやる構えだ」  幹部がこう経営の窮状を語るのは、昨年四月に華々しく株式会社としてスタートを切ったばかりの第一生命保険である。いまだ公表されていないこのリストラ策は来年四月頃に実施されるという。  第一生命にとって今年は確かに厳しい局面が続いた。三月十一日の東日本大震災による保険金等の支払見込額は約三百億円。さらに、五千五百万株を所有し事実上の筆頭株主である東京電力株では一千億円の損失を計上した。そして、ここにきての欧州の信用不安だ。イタリア、スペインの国債、社債など三千億円程度を保有している第一生命への打撃も決して小さくない。  しかし、第一生命が直面する「経営危機」の本質は、こうした一時的な外部要因などでは決してない。保険料の一部から業務の運営に割かれる事業費(費差益)の目減りが深刻なのだ。内部情報によるとこの四年間で実に一千三百億円が減少し、ついに今年度には赤字に転じる可能性が濃厚だ。  社内シミュレーションによると、三・・・