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好調インドネシアの「落とし穴」

広がる反中感情は日本の好機か?

2012年1月号

「二億人以上の人口を抱える巨大なラヤンラヤンは、南国の空に飛び上がっている」  インドネシアに在住する日本人ビジネスマンはこう語る。ラヤンラヤンとはこの国の言葉で「凧」を意味する。海外からの投資も増え、日本企業も再び熱い視線を向け始めたインドネシア。  十二月に入り、米大手コンサルタントATターニーが発表した「二〇一二年投資信頼度調査」で、インドネシアは前年の二十位から九位に躍進している。  しかし、順調に上がった凧の糸はあまりに細く頼りない。そして、ユドヨノ政権自らが、その糸に傷をつけかねないのだ。  二期目のユドヨノ大統領を支える連立政権で、発言力を増しているのが、第二党のゴルカル党だ。バクリ党首が率いる財閥「バクリ・グループ」は、一九九八年に崩壊したスハルト長期独裁政権を支えてきたサリム・グループ、シナールマスといった華人財閥に唯一対抗してきた民族系財閥である。  いまなお、華人はインドネシア経済の枢要を握ってはいるが、ワヒド、メガワティ両政権の後を継いだユドヨノ現政権が、「脱華人政策」を採り始めたことは本誌一〇年七月号でも述べた通りだ。

減少した中国からの投資

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