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連載

追想 バテレンの世紀 連載70

スペイン系修道会の日本進出
渡辺 京二

2012年1月号

 日本宣教はザビエルの渡来以来、イエズス会の独占するところで、その特権は一五八五年、教皇グレゴリウス一三世がイエズス会士以外の宣教師が渡日するのを禁じたことによって保障されていた。


 しかし、マニラに本拠を置くスペイン系托鉢修道会は、この禁令をくぐり抜けて日本宣教に参入すべく、あらゆる機会をねらっており、フランシスコ会士が秀吉とフィリピン総督の外交交渉に乗じ、使節として来日して以来、京都・江戸に拠点を築いたことは先述した通りである。

 スペイン系修道会がこのように日本に執心したのは、たんなる宣教への情熱によるものではない。ポルトガル・スペインの海外布教は教皇から国王に与えられた布教保護権のもとに行われた。両国国王はトルデシーリャス条約によって分割されたおのおのの支配領域の布教を保護する責任を有するが、そのことは同時に、布教領域を自国の植民地化する権限をも与えられたことになる。

 そもそもは、トル・・・