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中国共産党統治に隠せぬ綻び

「地方の反乱」が映す体制の弱体化

2012年2月号

 中国人が旧暦で正月を祝うのはよく知られている。今年は一月二十三日から新年が始まった。  干支にちなんで竜の年賀切手が発売されたが、真正面を向いた竜の顔の図柄が、鬼の顔のようで不吉だとネット世論が沸騰、郵政当局は「魔よけだ」と反論する一幕が年初の中国を騒がせた。たかが年賀切手の吉凶が騒ぎになるほど、不安な気分が中国社会を覆っているとみるべきなのかもしれない。  不安の背景にあるのは、中国の高度成長がピークを過ぎたという実感だ。胡錦濤政権下で二〇〇五年から維持してきた国内総生産(GDP)八%台の成長目標が、今年は七%台に下がった。七%成長でも十分に高いように思えるが、中国では八%以上の成長がないと失業率が高まり、社会が不安定化すると言われている。  政治も転換期に差しかかっている。この秋の共産党大会で胡錦濤政権から習近平政権に党指導部が入れ替わる。それに向けた権力抗争が激しく、政治も不安定だ。昨年から暴動やデモが一段と増えたが、今年はより一層激しさを増すのは間違いないだろう。  その前兆として注目されているのが広東省の漁村、烏坎村の反乱だ。昨年の秋から今年一月まで・・・