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経済

日本の「油乞い」に 産油国が高笑い

資源調達の無策が招く高値掴み

2012年2月号

 イラン情勢が急を告げる一月上旬、玄葉光一郎外務大臣はイラン原油の代替調達先を確保すべく、中東の有力産油国であるサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)に飛んだ。いうまでもなく、一九七〇年代の二度にわたる石油ショック時に行われた「油乞い」外交の再現である。  これに対して、ヌアイミ・サウジ石油相、ハムリ・UAE石油相は、ともに「原油の安定供給は、重要であり、日本と長年培ってきた信頼関係をもとに原油の安定供給の役割を果たす」と日本政府を安堵させたものの、これら中東産油国の日本への「約束」を楽観的に受け止める石油専門家はいない。確かに、原油の量的な確保に、現時点では致命的な問題はない。だが、重要なのは日本への原油の「売り値」である。サウジの国営石油企業であるサウジアラムコ、UAEの国営石油企業であるADNOCは、早くも日本の足元を見始めているのだ。日本による「原油の高値掴み」の悪夢が再び繰り返されるのは必至の情勢だ。

低品質の原油を「言い値」で買う

 もともと、日本がイランから輸入している原油は、二〇一〇年時点で日本全体の原油輸入量(日量三百七十一万バレ・・・