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経済

「東電処分」をめぐり 経産省が分裂

「権益」をめぐる暗闘が始まった

2012年2月号

 福島第一原子力発電所事故で気息奄々の東京電力を舞台に、権益を漁る動きが活発になってきた。「東電再生計画」は、原子力損害賠償支援機構の主導のもとで進められているが、同機構の主体である経済産業省で内部対立が深刻化。公的資金注入を口火として、東電を完全な国家管理下に収めようとする「企業再生派」と、東電再生をダシに電力制度改革に突き進む「制度改革派」がしのぎを削り、「議論が何もまとまらない状態」(経産省関係者)にあるのだ。一方で、国家管理を是が非でも阻止したい東電は、制度改革派にすり寄りつつも、電力業界をたきつけて改革を骨抜きにしようと躍起になっている。

「企業再生派」vs「制度改革派」

 東電の再生計画は、賠償金を注入する原賠機構が中心となり、三月に総合特別事業計画としてまとめられる。同計画には、向こう十年の大方針だけでなく、再生の具体策をも盛り込まなければならない。すでに中身を固める時期にもかかわらず、なお議論が迷走している最大の原因は、原賠機構を仕切る経産省内部の混乱だ。  東電の再生は、大別して二つの視点がある。一つはつぎ込んだ国のカネ、賠償金をきっち・・・