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経済

「脱日本」に成功した日本板硝子

外国人トップ起用の好例

2012年2月号

 二〇〇六年に英ガラス大手、ピルキントンを買収し、旭硝子と肩を並べる世界最大手のガラスメーカーにのし上がった日本板硝子。買収から二年後に、のみ込んだピルキントンから英国人のスチュアート・チェンバース氏を社長に迎えるという大胆な決断を下した。同社長が家庭の事情で退任すると、次に米デュポン出身のクレイグ・ネイラー氏を社長に招き、二代続けて外国人をトップに据えた。外国人トップは日本板硝子に何をもたらしたのか。

限界を知った日本人トップ

 日本板硝子はピルキントン買収ののれん代償却などが重い負担となって、〇九年三月期、一〇年三月期と二期連続で最終赤字に転落した。一一年三月期には黒字転換したものの当期利益は十六億円とライバル、旭硝子の七十分の一程度で、「世界トップを狙うためのピルキントン買収」の成果はまだ出ていない。  だが、明らかにピルキントンとの統合によって新興国を中心とするグローバル展開は加速している。ブラジルでは昨年二月にサンパウロ郊外に立地するピルキントンの工場に自動車のフロントガラス用生産ラインを新設、生産能力を五〇%引き上げた。この投資で同工場は年間・・・