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中国指導部の権力闘争が新展開

薄熙来「失脚」の真相

2012年3月号

ついに中国共産党の権力闘争が爆発した。太子党派を代表する薄熙来・重慶市党委員会書記の腹心、王立軍・副市長が米国総領事館に亡命を申請するという思いがけない発端で幕をあけ、あっけなく薄書記が「失脚」した。  次の重慶の党委書記には共青団派の周強・湖南省党委書記の名前が急浮上している。一時は固いと見られた薄書記の政治局常務委員昇進が消え、代わって周書記が常務委員に昇進するならば、現在五十一歳の周氏は、十年後に習近平氏の次の「第六世代総書記」となる有力な候補者だ。

第六世代指導者候補に急浮上

 二〇〇七年、上海市党委の陳良宇書記が汚職で失脚した「政変」では、習近平氏が浙江省党委書記から上海党委書記に異動した。習氏はその年の党大会で中央委員から二段飛びで政治局常務委員に昇進し、ポスト胡錦濤の後継者の地位についた「前例」がある。  中国では新しい総書記を選ぶときに、その次の総書記の候補者をあらかじめ政治局常務委員会に入れておくのが「慣例」だ。現在懸案の「第六世代問題」は、これまで内蒙古自治区党委の胡春華書記、吉林省党委の孫政才書記らが有望視されて・・・