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社会・文化

弁護士の新利権「消費者集団訴訟」

新法成立で「ぼろ儲け」

2012年3月号

我が国も米国並みの訴訟天国になりかねない新法案が今、国会へ上程されようとしている。消費者庁が推進する「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度」の法制化だ。海の向こうではかつて、ハンバーガーを食べ過ぎて肥満になったのは提供した企業の責任だとして集団訴訟が起こったが、日本も対岸の火事と笑ってばかりはいられなくなるかもしれない。    しかも、この制度の実現を最も後押ししているのが、ほかならぬ弁護士業界であると聞けば納得だろう。「可哀想な消費者を救いたい」と義侠心で動いたなどとはよもや思うまい。「消費者保護」という美名の下に、顧客トラブルを「利権」化し、過払い金ビジネスに続く新たな食いぶちにありつこうと群がる弁護士業界の腹の底が透けて見えるようだ。

塵も積もれば山となる

 日本版クラス・アクション(集団訴訟)とも言えるこの制度は、数万~十数万円という比較的少額の金銭被害にあった消費者を主な対象としている。弁護士費用の関係から、これまで泣き寝入りしていた消費者を救う、といえば聞こえはいいが、弁護士業界にとっては新規顧客の発掘にほかならない「おいしい」制度・・・