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北朝鮮「ミサイル発射」とロシア

表面では「警告」しているが

2012年4月号

 北朝鮮の「人工衛星打ち上げ」を巡る国際社会の反応は、総じて批判的だ。日米韓はもちろんのこと、中国、ロシアも揃って憂慮の姿勢を見せた。しかし、水面下では中国は想像以上に当惑しており、「属国」である北朝鮮の扱いに手を焼いている。一方で今回の一見無謀な北朝鮮の行動の背後では、ロシアの影が蠢く。

ロシア軍部と接触する金英徹

 三月十六日に北朝鮮の宇宙空間技術委員会は、実用衛星「光明三号」を四月十二日から十六日の期間中に朝鮮西海沿岸の発射場から打ち上げると発表した。  二月末には、北朝鮮がウラン濃縮を停止して米国が二十四万トンの食糧支援を行う米朝合意が発表された。三月十二日にも、北朝鮮の六カ国協議首席代表である李容浩外務次官がニューヨークで、「国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れ」を表明している。米国が北側の発表に憤っているのは言うまでもない。 「ただし米国は過去に煮え湯を何度も呑まされている。今回の発表で最も頭が痛いのは中国だ」  韓国の北朝鮮専門家はこう語る。十六日の発表当日には、中国の張志軍外交部副部長が、北朝鮮の池在竜駐中国・・・