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政治

《罪深きはこの官僚》八木毅(外務省経済局長)

TPP参加問題を紛糾させる「お荷物」

2012年4月号

 環太平洋経済連携協定(TPP)の米国との事前協議での「不用意発言」がもとで、TPP反対派に格好の批判材料を与えてしまったTPP交渉の「お荷物」が、交渉担当者の八木毅・外務省経済局長だ。二月七日の一回目の事前協議で、米国から「すべての品目を交渉の対象にしないと、TPPへの交渉参加はできない」と迫られた八木は、「すべての品目を交渉のテーブルに乗せる」と答えたのだ。

 実際、菅政権時代の二〇一〇年十一月に閣議決定をした「包括的経済連携に関する基本方針」には、「我が国に特に大きな利益をもたらす経済連携協定(EPA)や広域経済連携については、センシティブ品目について配慮を行いつつ、すべての品目を自由化交渉対象とし、交渉を通じて、高いレベルの経済連携を目指す」とある。もっとも、この閣議決定こそTPP反対派を懐柔するための苦肉の策であり、読み手によってどうとでも解釈できる、いわば「霞が関文学」であることは周知のとおりだが、あくまで「特に大きな利益をもたらす」という場合に限って、という「縛り」こそ、TPP反対派の拠り所であるという「機微」を八木はどこまで理解していたのか。・・・