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連載

本に遇う 連載148

「ばかの四乗」の悲惨
河谷史夫

2012年4月号

 どうやら政治は喜劇で、政治家はコメディアンらしい。
「言うだけ番長」と書かれたからと、民主党の前原誠司が産経新聞記者を記者会見場から追い出したというのには笑った。気にしていることを言われると人は怒る。

 党代表のときのメール事件にしろ、国土交通相になったとたんの八ッ場ダム建設中止宣言にしろ、「言うだけ」だった。人材払底とみえて、こんな程度の男がやたら要職を歴任するのが不思議である。

 与党政調会長として何をどう囀っているのか知らないが、新聞記者が「言うだけ」とからかいたくなったとして何の不思議もない。

 民主党という集団は前原だけに限らない。鳩山由紀夫も言うだけ。菅直人も言うだけであった。発言の後始末をしない。野田佳彦も育ちは争えない。駅前演説風にぺらぺらしゃべっているが、それだけだ。いっそ「言うだけ党」と改称したらいい。名実ともに一致する。

「民間事故調」というやつの素姓は知らないが、原発事故を調べたという報告書に描かれた当時の首相菅直人の行動にも笑った。担当者に自ら電話をかけて、蓄電・・・