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「後継者探し」を始めたプーチン

退陣後の「保身」が最優先課題に

2012年5月号

 ロシア下院選後の抗議活動が尾を引く中で、プーチン大統領の「三期目」がスタートする。「プーチン時代は終わり」との声がかまびすしい一方、プーチン自身による後継者探しが緒に就いた。自らが去った後に、現在の政治体制を守り、自身や同年代の仲間の不正蓄財疑惑に目をつぶる人間だ。「プーチン無きプーチン体制」構築はもう始まっている。  四月中旬、ロシア下院で、プーチン「首相」最後の施政方針演説が行われた。涙まで見せた大統領選勝利の夜から、一カ月余り。詳細にわたる政策の把握ぶり、鋭い皮肉や切り返しは、お馴染みのプーチンだった。だが、四時間に及ぶ議員たちとの質疑では、ロシア政治の変化も歴然と表れた。 「議員たちがこれほど大胆なのは見たことがない。首相が深手を負った今こそ、攻める好機と考えたようだ。プーチンは明らかに苛立ち、話している最中に不規則発言をした議員に、『いいから座って、聞けよ』とにらむ瞬間もあった」と、ロシア人政治記者が言う。  こうした雰囲気を反映して、様々な経歴の人物が「我こそは反プーチン」を名乗り始めた。昨年春まで大統領府でメディア政策を担当していたグレブ・パブロフスキ・・・