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資源相場に「暴落」の予兆

供給過剰と需要急減が始まる

2012年5月号

 二十一世紀に入って急騰した様々な資源に暴落の気配が漂い始めた。  原油や鉄鉱石、銅など市場でうかがえる予兆はまだ限られている。だが、需要側では新興国景気の減速、省エネ・省資源の劇的な進展、供給側で進むガス田や鉱山開発は過去十年続いた需給逼迫の構図を塗り替える。これまで資源価格を押し上げてきた投機マネーは、下がるとみれば市場から一気に逃げ出す。今、世界が覚悟すべきは原油価格が半年足らずで一バレル三十ドル台から八ドルまで暴落した一九八六年の「逆オイルショック」に匹敵する「資源ショック」なのだ。

世界的な省エネ・省資源の潮流

 まず考えるべきは、今世紀に入ってからの資源価格上昇が何故起きたかである。世界の一次産品は、穀物が一九七〇年代半ばから、原油や金属鉱物は八〇年代半ばから低迷してきた。七〇年代の価格上昇を受けて急拡大した供給力を市場が吸収できず、供給過剰に転落し、それが長く続いたからだ。その結果として、先進国、途上国ともに安い資源を追い風として経済成長を加速させた。八〇年代後半からの東南アジア諸国連合(ASEAN)、九〇年代後半からの中国の・・・