三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

インドネシアで「テロ復活」の兆し

忍び寄る「JIの影」

2012年6月号

 今年三月二十一日にフランス・パリで発生したインドネシア大使館小包爆弾テロは、当のインドネシアだけでなく、他の東南アジア諸国の治安当局をも震撼させている。犠牲者はおろか、けが人も出なかった小さなテロが波紋を呼ぶのは、沈静化していたイスラムテロ組織「ジェマ・イスラミア(JI)」の再始動の狼煙とみられているからだ。東南アジアのイスラム過激派に詳しい専門家はこう語る。 「水面下に潜っていたJIの勢力は温存され、一部拡大している」  他のイスラム過激派との連携も継続しており、域内における新たなテロ発生の危険性は高まっているという。

「人材供給」は止まらず

 インドネシアを本拠として、国際イスラムテロ組織アルカーイダとも連携するJIは最近、大人しく見えた。振り返ると、二〇〇二年にバリ島爆弾テロ、〇四年に在ジャカルタ・オーストラリア大使館爆破、〇五年には再びバリ島で爆弾テロを起こしている。〇九年にジャカルタで起きた、米系ホテルへの連続爆破では、暴走した分派の関与が疑われている。前回の事件からの時間経過はテロを起こす準備には充分かもしれない。  ・・・