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政治

《土着権力の研究》富山県 髙木繁雄・北陸銀行頭取

地元名門地銀を牛耳る独裁者

2012年6月号

 全国区の企業といえば北陸電力やYKKくらいにとどまるとはいえ、富山県には県の政財界を牛耳る「三大独裁者」と呼ばれる人物がいる。県紙北日本新聞の前社長梅沢直正、地元の大手工作機械メーカー不二越の前会長井村健輔。この二人を押さえ、筆頭格に挙げられるのが、富山・石川・福井の三県を版図に抱える広域地方銀行・北陸銀行頭取の髙木繁雄だ。

 もともと北陸銀の頭取ともなれば、富山県では県知事、北陸電力の会長・社長らと並ぶ地域ボスの有資格者ではある。その中でも髙木は二〇〇二年の頭取昇格以来、今年六月でちょうど十年の長期政権を敷く。創業家と縁のないサラリーマン頭取が、名門地銀でここまで長期にわたって権力の座に居座り続けていられるのにはわけがある。

近隣への版図拡大に執心


 一九九九年、七百五十億円の公的資金を受けた同行は、金融再生プログラム、いわゆる「竹中プラン」によってトップの引責辞任を迫られたが、その際、犬島伸一郎頭取の後を襲ったのが、当時総合企画部長でMOF担(旧大蔵省担当者)だった髙木であった。「当局が・・・