三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

《政界スキャン》

問われる野田の「キャリア不足」

2012年6月号

 政治家の言葉遣いを聞いていると、政界の緊迫のレベルが伝わってくる。最近の一例をあげると、自民党の谷垣禎一総裁は五月十九日、奈良市の講演で、
「野田佳彦首相が民主党の小沢一郎元代表や輿石東幹事長と話して、『党を割るわけにいかないから、(消費増税法案の採決を)先送りしよう』と判断することはあり得る。しかし、これは首相が立ち腐れする道だ」
 と述べた。日ごろ温厚な谷垣が一国の首相に「立ち腐れ」などと品の悪い言葉を使うのは珍しい。いら立つ心情をみせつけることになった。谷垣は同法案の成立に協力する代わりに首相に衆議院解散を約束させる「話し合い解散」の道を探る立場だから、民主党の内紛が気になって仕方ない。国会の会期末(六月二十一日)が近づくにつれ、日増しに緊迫の度を加えるなか、次第に熱を帯びてくるのが野田首相への視線だ。

 どのくらいの決断力、器量がある首相か。それによって、最大関心事の解散時期も絞られてくる。五月十七日審議入りした衆院社会保障と税の一体改革特別委員会でも、質問者は歴代の首相を引き合いに出しながら、野田の覚悟のほどを探ろうとしている。{b・・・