「本当にウマいところに目をつけたと思うよ。リスク・オンとリスク・オフの繰り返しで、その都度ボロもうけだぜ」 　ギリシャがユーロから脱退しようがどうしようが、本当は関係ない。世の中が騒いでくれればくれるほど、カネになる―。こう嘯くのはある大手ヘッジファンドのマネジャー。リスク・オンとは株や商品などリスクがある資産への投資のことで、リスク・オフは危険が少ない大国の国債を買うことと考えればいい。 　例えば、五月十九日の日本経済新聞夕刊は「ギリシャやスペインなど欧州の債務問題が緊迫の度を増し、マネーが安全資産の債券に逃避している」と報じた。ここ二～三年の間に何度このような記事が繰り返されたか。

何の材料もなく「巨利」を得る

　具体的にはユーロ「売り」とドルと円の「買い」、そのあとは株売り、そして日、米、独などの国債買い。節目節目でヘッジファンドは「売り」を仕掛け、何ら材料もないのに急騰、または急落が起きる。その都度、ユーロ崩壊の緊迫度が高まる―という仕組みだ。 　五月十四日、アジアの早朝の薄商いの時間帯を狙ってフェイクマネーと呼ばれる短・・・