三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

大観と梅原「強酒で長命」の理由

「健康オタク」とは対極の境地

2012年6月号

 絵描きと酒は、切っても切れない間柄、と言ってもさしつかえないだろう。ユトリロやロートレックのように、身を滅ぼすまで酒に溺れる画家も少なくない。  わが日本画壇には、稀なる酒豪でありながら、しかし長命を誇った大家が二人いる。一人は日本画の重鎮、横山大観。もう一人は、洋画の巨匠、梅原龍三郎。共に朝から酒が途切れない生活を長くおくりながら、数えで九十歳を超える長寿であった。ただ、その飲み方は実に対照的。片や大観は日本酒一本槍で、食の方はわずかばかり。晩年になると、つまみはおろか米飯すらほとんど口にしなかったという。対する梅原は、稀代のグルマン。よく食い、よく飲み、おまけにヘビースモーカーだった。  そこで疑問がわいてくる。果たして長く酒と付き合うためには、いったいどちらの飲酒方法が良いのだろうか。

アルコールを間断なく「補給」

 まず、大観の酒量はどれほどのものだったか。画のみならず、酒も岡倉天心に仕込まれた大観。山田風太郎の『人間臨終図巻』によると、「平生から『米のエキス』と称して一日一升の酒を欠かさなかった」そうだ。八十七歳の時に病気・・・