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WORLD

破綻した米国の「犯罪政策」

大統領選の隠れた争点に

2012年7月号

 米国の犯罪政策が危機に瀕している。「犯罪者に厳罰」という、有権者に聞こえのよい公約を積み重ねた結果、米国は世界最大の収監者大国になった。州によっては刑務所経費が高等教育費を上回っており、国力低下の要因になっている。黒人収監者が際立つのも特徴で、大統領選の隠れた争点になってきた。

黒人男性は百人中三人が収監

 今年初め、米本土四十八州の知事あてに、奇妙な書簡が届いた。  民営刑務所運営で米国最大手の会社が、「おたくの刑務所を買い取りたい」と提案したのだ。どこも財政難なので、金食い虫の刑務所を高額で買う、というのはうまい話だ。その条件は、刑務所運営を「最低二十年以上」この会社に任せること、そして刑務所を常時九〇%以上埋めることだ。 「ここまでやるかという新手の商法。『コレクションズ・コーポレーション・オブ・アメリカ(CCA)』は業界最大手で、十億ドル以上の利益を稼ぎ出している。刑務所買収費なんて、長期契約のうまみから見ればわずかなもの」と、米国内の人権活動家が言う。CCAは、収監者激増に伴ってビジネスを伸ばし、全米に六十以上の施設を持つ・・・