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連載

日本の科学アラカルト23

作物の成長をコントロールする農業技術研究

2012年7月号

 人類よりも前に地球上に出現していた植物。人類やその祖先は、その中から必要、有用なものを選び出し摂取した。その後、採集という作業から、特定の植物のみを集めて、必要なものだけを大量に得る手段を考え徐々に体系化した。農業の始まりだ。その過程では、手法の改善とともに、突然変異も含めてより有用な植物へと改良していく営みがあった。

 日本では、必要不可欠なコメについて、古くからより強く、収量の多いものを作るための試行錯誤が繰り返されてきた。最近になり、いわゆる「バイオ・テクノロジー」を使って、より効率的に品種改良などが行われる可能性は広がった。

 農業分野における日本の技術は世界に誇れる武器である。そして品種改良や、作物の成長システムの解明に多くの研究者が取り組んでいる。

 植物の成長を促す「ジベレリン」という植物ホルモンは、日本人が発見した。しかも今から、九十年近く前、一九二六年、植民地下の台湾で黒沢英一氏が、植物をより成長させる化学物質(=植物ホルモン)の存在をつきとめたのだ。

 その後、東京帝国大学の藪・・・