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連載

西風 376

一筋縄でいかない「国政進出」
八木 亜夫

2012年9月号

 次期衆院選の足音が近づくにつれ、「台風の目」と注目される地域政党・大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)の動きも水面下で活発になってきた。

 国政進出に向けて創設した「維新政治塾」は、三千人超の応募者の中から候補者予備軍となる塾生八百八十八人を絞り込んだ。維新は全国で三百人程度の擁立を目指しており、候補者を選定する「公募委員会」を近く設置し、公募に踏み切る準備を進めている。九月十五日には塾生十二人を選抜し、大阪市内の繁華街での街頭演説も計画している。「実地研修」で候補者育成を本格化させ、間近に迫った決戦に備える構えだ。

 街頭演説に臨む十二人は、維新幹部が「どこかの選挙区で必ず候補者になるだろう」と太鼓判を押す精鋭たち。ただ、「即戦力」と期待される中央官僚や地方公務員の名前はない。維新塾に参加している公務員は国・地方を合わせて約二十人。政策に強く、優秀な人材も多いのだが、政治活動を規制する国家公務員法などに抵触する恐れがあるとの判断から、街頭に立つ対象からは外したという。

 大阪市では七月、公務員を厳しく律する橋下氏の強・・・