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社会・文化

「福島風評被害」の戦犯は地元紙

実態と乖離した情報で煽る

2014年1月号

「実態とかけ離れた放射線の風評被害は深刻になる一方だ」  東日本大震災直後から福島県内で医療活動を続ける坪倉正治医師は危機感を強めている。  二〇一四年三月で震災から三年を迎える福島県では、被曝や風評による被害が喧伝され過ぎるあまり県民が不要な恐怖を抱いている。行政とメディアが一体となった「負のプロパガンダ」に被災者が絡め取られているのだ。 不安が大きい地元紙購読者  坪倉氏は相馬市・南相馬市など浜通り地方を中心に、被曝対策に従事してきた内科医だ。福島県内で診察や健康相談にのった住民の数は五千人を超す。坪倉氏の調査によって明らかになったのは、福島での住民の被曝がチェルノブイリよりもはるかに少ないという動かしがたい事実だ。この調査結果は、米国医師会誌などで発表され国内外のメディアが大きく取り上げた。  しかし、福島県民の不安は震災から時間が経過しても増すばかりだという。結婚、就職などで言われなき差別を受ける不安を抱える人が増えている。  二〇一三年一月、坪倉氏は相馬市内五校の全中学生を対象に放射線に関する講演会を行い、同時にアンケ・・・