三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

米中関係は悪化していく

中台韓「対日包囲網」の波紋

2012年10月号

 ブレジンスキー元米大統領補佐官が十五年前に言った「日本は事実上の米国の保護国」であることをもはや中国は百も承知なのだろう。  かつて例のない長期間にわたる大規模な反日デモを仕掛けたが、その際、日本大使館、領事館、日本企業、日本料理店などへの目に余る破壊、略奪行為を行った。中国に韓国が悪乗りし、歴史認識で同調する気配を示したり、親日的であるはずの台湾までもが尖閣周辺の領海内に漁船を侵入させている。「冷静」「沈着」「毅然」「不退転」といった政府高官の口を衝いて出る言葉は空虚すぎるではないか。とどのつまり、縋りつくのは米国だけだ。  九月十七日に東京に立ち寄り、十七~十九日の三日間中国を訪問したパネッタ米国防長官は、第三国間の領土問題には不介入との米外交の原則を貫いたが、機会あるごとに日米安全保障条約第五条にいう「武力攻撃」には対処する旨は明確に伝えた。むしろ同長官は中国に対する警戒心をますます強めたのではないか。テレビの前で下卑た笑いを浮かべ、「領土問題には相手の立場があるから、あくまでも話し合いと和解を」などと口走った民主党幹部とは対照的に米議員は率直だ。南シナ海、東シナ海・・・