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米欧を脅かす西アフリカ「無法地帯」

国際テロ組織が続々侵入

2012年10月号

 本誌二月号は「アフリカ北部が『第二のアフガン』に」と題する記事を掲載し、かつてアルカーイダを育んだアフガニスタンのような「テロの温床」がサハラ砂漠一帯に生まれる可能性を指摘した。その二カ月後、その懸念は現実のものとなった。西アフリカのマリ北部に「安全保障の空白域」とでも呼ぶべき分離独立国家が誕生したのである。  四月六日、同地に住む遊牧民族トゥアレグの武装組織「アザワド解放国民運動(MNLA)」が、北部の分離独立を宣言した。国名はサハラ砂漠のアザワド盆地にちなみ「アザワド国」としたという。マリは南部の首都バマコ特別区と八つの州から成る連邦国家だが、このうち北部のトゥンブクトゥ、キダル、ガオの三州は、バマコの中央政府の支配が及ばない地域となった。むろん、この独立を承認した国は世界にない。  トゥアレグ人はこれまでに何度も独立を求めて反乱を起こし、その度にマリ国軍に鎮圧されてきたが、今度は鎮圧を撥ね返して「独立」をもぎ取った。砂漠での戦闘に長けたマリのトゥアレグ人たちは長年、リビアのカダフィ政権で傭兵として重用されてきたが、昨年の政権崩壊後に大量の武器と共にマリに帰国してMN・・・