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ミャンマーは「バラ色」ではない

迷走するテインセイン政権

2012年10月号

「ミャンマーがバラ色の開放の道を歩んでいるかのような報道は、誤報みたいなもの」  ミャンマーに繰り返し入り、民主化の状況をつぶさに見てきたバンコク在住のジャーナリストはこう語る。確かに、相次いで決まる日本企業による投資事業などの報道を見れば、昨年来続くミャンマーの開放は急速に進んでいるかのようだ。しかしここ数カ月、テインセイン政権はジレンマに陥り、軍守旧派による巻き返しの動きがある。また、改めて中国がミャンマーにおける存在感を強めている。

軍守旧派による「ブレーキ」

 八月二十日、ミャンマー政府は民間メディアが発行する新聞や雑誌の「検閲」を廃止することを発表した。昨年時点で、政治や宗教を除くスポーツなどの分野について廃止していたものを、拡大する内容だ。民主化に不可欠な「報道の自由」解禁が大々的に報じられたが、実態は異なる。  政権は当初、司法・メディア関係者などで構成する報道評議会によって発行済みの新聞などをチェックする予定だった。事実上の「事後検閲」だ。しかも評議会メンバーの一部が反発して実施が見送りになると、情報省の担当部署が「報道評・・・