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アサドはまだまだ倒れない

国内外の支持を失う反体制派

2012年10月号

 シリアのアサド政権に陰りが見えない。内戦状態に陥り、反体制派は湾岸諸国や米欧の支援で着実に武装強化しているが、依然、瓦解の兆しは薄いのだ。「シャビーハ」と呼ばれる政府系民兵を使った虐殺疑惑で極悪なイメージを国際社会に植え付けたアサド政権だが、ここにきて、反体制派側も同様の殺戮に手を染めている可能性が急浮上。離反兵士団体「自由シリア軍」ら政権打倒の御旗を掲げてきた反体制派に対する不信感が、市民の間に渦巻き始めている。一時、米欧の高官らから相次いだ「もはやアサド政権は時間の問題だ」という楽観論も、今や鳴りを潜めている。アサド政権は虎視眈々と起死回生の機会をうかがっている。

アルカーイダ系過激派が侵入

 八月下旬、アサド政権による新たな虐殺疑惑が国際社会を駆け巡った。首都ダマスカス近郊の町ダラヤで、政府軍に殺されたと見られる市民ら二百人以上の遺体が見つかったのだ。ダラヤは、ダマスカスとその周辺部をつなぐ中間点に位置しており、首都陥落を狙う反体制派にとっては重要な攻撃拠点基地になる戦略的なロケーションだ。  地元の人によると、ダラヤは当時、反体制・・・