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米中「台湾争奪戦」が新局面へ

「現状維持」政策が劇的に変化

2012年11月号

 米大統領選で現職の民主党オバマ大統領あるいは共和党のロムニー候補のいずれが当選しても、新しい米政権がアジアに軸足(Pivot)を置き、力の再均衡(Rebalance)を図る大方針に変わりはあるまい。理由は中国の「台頭」というよりも航行自由の原則、国際法や国際法規を無視して情け容赦なく他国の領土、領空を侵す二十一世紀の世界秩序の中では信じられない言動である。  わけても東シナ海と南シナ海における行動の無軌道性は一体どう説明すればいいのか。  東シナ海と南シナ海のど真ん中に位置するのは台湾だ。ニクソン訪中以降四十一年間にわたって米政権が取り続けてきた台湾政策は一言で表現すれば曖昧政策に尽きる。二期目に入ってからのブッシュ前政権から現オバマ政権発足一年目までの米国における中国熱は最高潮に達し、米中両国間でアジアの国際秩序を取り仕切る「G2」論が幅を利かせたほどだ。

脅かされるシナ海のシーレーン

 が、いまは違う。米中両国がますます対立を深める中で台湾の重要性は日々高まりつつある。東シナ海で日本が尖閣諸島における完全な実効支配を手にした・・・