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「習近平指導部」は派閥均衡の産物

強権政治へ向かうのは必至

2012年11月号

 天安門事件以来の激しい党内抗争が一段落した。十一月八日から始まる中国共産党最大のイベント、第十八回党大会を直前に控え、主要人事がおぼろげながら浮かび上がってきた。党大会で改選される新中央委員が開く最初の総会「一中全会」で、党総書記ら新しい政治指導部が正式に選ばれる。  習近平を総書記とする次期指導部は、中国の針路をどこに向けるのか。個性も理想も判然としない新しい指導者の登場を、世界中が不安の目で見守っている。

自前のグループ作りに動く

 人事抗争は本当に終わったのか―そう思わざるを得ないほど、権力を掌握した習近平に気迫が感じられない。ここにきて、とうに引退した江沢民前国家主席の画像がインターネットに流れ、党大会前になお圧力をかけているようだ。  江沢民は十月九日、北京市内某所で上海海洋大学の学長らの表敬訪問を受けた。その画像がニュースとして流れたのは二十日。翌二十一日の政治局会議で、党中央組織部と宣伝部の各部長、政府の公安部長という高官の交代人事が決まったのだ。  江沢民は、まるで森の王者マウンテンゴリラが胸を叩くドラミングで・・・