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連載

日本の科学アラカルト27

環境エネルギー分野で期待される微生物研究というお家芸

2012年11月号

 京都大学の山中伸弥教授が、ノーベル医学・生理学賞を受賞した。「異例のスピード」という点が取り沙汰されているが、山中氏自身が「これからが勝負」と話しているように、実用化には癌化の問題や原理究明などいくつものハードルが残されていることは事実だ。それでも、山中氏が受賞したのは突出して優れていたからである。

 また、山中氏は「日本という国がもらった賞」と語っている。人柄をみれば心からそう思っているのだろう。米国が多額の研究費をつぎ込み、研究を急いでいるが、今後も「iPSは日本のお家芸」であることが期待されている。

 合成化学や材料など、日本のお家芸と言われる科学研究分野は多くある。細菌や、微生物といった分野もその一つだ。納豆、醤油、味噌などこれだけ発酵食品に囲まれている食卓は世界でも珍しい。このため、発酵や醸造といった分野での研究が行われてきた。最近では、環境エネルギー分野における微生物の応用研究も進んでいる。

「醸造学科」という珍しい学科を持つことで知られる京都大学では昨年、海藻からバイオ燃料であるエタノールを生成することに・・・