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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》原発城下町

交付金なしでは生きて行けない

2012年11月号

「原発立地自治体は禁断症状を起こしている。クスリを断たれた麻薬中毒患者が、フラッシュバックを起こしているようなものだ」
 新潟県議会議員の一人はこう語った。今年一月と三月に、5号機6号機が相次いで運転を停止して以降、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の火は落ちたままだ。

 十一月十八日には、同発電所が立地する柏崎市と刈羽村の両方で首長選挙が行われるが、「原発の是非」が最大の争点になる気配はなく、これからも原発との共生を目指している。

 政府と電力会社によって原発マネーを流し込まれてきた原発立地自治体。いわゆる「原発城下町」は福島第一原発事故から一年半が経過した今、原発が落とすカネへの依存を再認識している。そして、七月の関西電力大飯原子力発電所の再稼働により、それが加速している。

原子力とは決別できない


「福島の事故直後は震え上がった。でもいまは原発が動いてくれてありがたい。地元の本音はほとんどが似たようなものじゃないか」

 福井県おおい町。再び「・・・