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政治

《土着権力の研究》青森県 三村興業社

現職知事の親族企業

2012年12月号

「二〇三〇年代の原発稼働ゼロを目指す」―新たなエネルギー・環境戦略の方針を打ち出した政府に対して、県内に保管している使用済み核燃料の返送を「粛々と実行する」という強烈な“脅し”をかけた三村申吾・青森県知事。その結果、民主党政権の脱原発政策の矛盾を浮き彫りにしたばかりか、枝野幸男・経済産業相の口から核燃料サイクル政策の維持・継続の言質を取り、さらには電源開発(Jパワー)が同県大間町で建設を進める大間原発の工事継続までも勝ち取った。

 そのなりふり構わぬ恫喝ぶりは、青森県の原発依存ぶりをものの見事に浮き彫りにした。青森県の下北半島は、大間原発のほかにも六ヶ所再処理工場や東通原発、使用済み核燃料の中間貯蔵施設などが林立する原発銀座として知られる。これら施設に投入される巨額の原発マネーは、青森県の「生命線」にほかならない。三村知事の強硬姿勢の背後にはそうした事情があるのは間違いない。だが「実は、そればかりではない」と語るのはある地元関係者だ。

「三村興業社」―国との交渉の先頭に立った三村知事のこの同族会社(本社・おいらせ・・・