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インド経済に一転「復調」の兆し

「捨て身の構造改革」に外資も好感

2013年1月号

「我が国のインフレ率は二〇一三年初めまで高止まりし、依然として成長率も弱い可能性が高い」。インド財務省による一二年十月の報告書は、こうした悲観論に染まっていた。昨今では内外メディアも「インド経済の限界」といった論調がすっかり定着している。  だが、足元のインド経済には「復調」の兆しがいくつもある。 「これはビッグバン改革だ」―。こう気勢を上げる八十歳のマンモハン・シン首相には、もはや失うものがない。シン首相が九月に突如始めた「捨て身の構造改革」は加速しており、二十年前に自らが財務相として率いた「改革開放」に次ぐ「第二のビッグバン」として、最後の決戦に挑んでいる。それは我々の「安易な暗い見通し」を上回る結果を出す可能性がある。

改革へ凄みを効かすシン首相

「大統領選が終われば改革を断行する」。かねてよりこう発言していたシン首相が、立て続けに改革を打ち出したのは一二年秋から。九月十三日に財政赤字削減のために「安く抑えてきたディーゼル価格」を引き上げ、九月十四日に「小売業の外資開放」を発表、同日さらに「航空業」「放送業」の規制緩和を次々と発表し・・・