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経済

迷えるトヨタの「レクサス問題」

「展望」なき高級車が映す「宿痾」

2013年1月号

 台数至上主義に突き進むトヨタ自動車にあって、低下する収益性を下支えする救世主との期待もある高級車ブランド「レクサス」。  しかし堅調な米国市場を除けば、相変わらずの鳴かず飛ばず。トヨタの最上級ブランドではあるものの、販売台数が少ないためグループ全体へのインパクトがきわめて限定的なことから、今や経営課題としては「忘れ去られたに等しい存在」(全国紙記者)となりつつある。  だが、実はここにこそ現在の迷えるトヨタの「宿痾」が映し出されている。

拭えぬ「所詮はトヨタ車」との評価

 日本自動車販売協会連合会(自販連)が二〇一二年十二月に発表した十一月のブランド別国内新車販売台数によると、レクサスブランドは三千百六十二台、一月からの累計では四万六百九十台となった。残り一カ月で年間計画の五万台達成はきわめて難しい状況だ。東日本大震災で一時生産がストップした前年実績と比べてもわずか一・四%増にすぎない。トヨタブランドの四六・四%増に比べると、はるかに見劣りする。  レクサスブランドの国内販売が始まったのは〇五年八月。同ブランドを担当した笹津恭・・・