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経済

東京海上「詐欺まがい」商法の実態

東南アジアで「荒稼ぎ」

2013年1月号

 国内市場が少子化などで縮小の一途をたどる中、海外展開を事業の主な柱としている保険業界。損害保険業界の雄、東京海上日動火災保険も例外ではない。同社が近年、特に力を入れているのは、経済成長が著しい東南アジア市場。すでに、マレーシア、シンガポール、インドネシアなどに事業会社を設立し、各国でシェアを伸ばしつつある。ところが、こうした進出攻勢を強める中、東南アジア戦略の中核ともいえるタイの首都バンコクでは、同社の保険事業をめぐって非難の声が渦巻いているという。同社が最近、現地で契約数を伸ばしている背景に、在留邦人を対象とした「詐欺まがい」(加入者の一人)の商法があるというのだ。  タイでは二〇一一年夏に発生した大洪水で、多くの日系企業が甚大な損害を被ったのは記憶に新しい。損保各社も軒並み巨額の負担を強いられたが、その影響が特に大きかったのが東京海上といわれている。タイの大洪水だけで、保険各社中最大の総額四百億バーツ(約一千億円)以上の保険金を負担し、企業体力を大きく落としている。他社同様、保険料の引き上げに踏み切らざるを得なくなった同社だが、一方で、この「損害」を取り戻そうと目を付けたの・・・