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社会・文化

インフラ崩壊列島の恐怖

老朽化を放置したのは誰か

2013年1月号

「トンネルだけでなく日本中のインフラが危機に瀕している」  国土交通省の審議会などにも出席する、建築を専門とする大学教授はこう警鐘を鳴らす。  十二月二日に発生した中央道の笹子トンネルでの天井板崩落事故を受けて、国交省は全国のトンネルの緊急点検を指示するなど余波はいまだに続いている。  しかし、トンネル以外の高速道路、一般道、橋などの老朽化も著しい。鉄道や上下水道なども含めれば、あらゆるインフラが限界に達しようとしている。背景には、国交省の杜撰なインフラ維持体制と、高速道路会社など公的企業による利益簒奪がある。

「維持・管理」は後回し

「今回のトンネル崩落事故は高速道路民営化の失敗のツケだ」  国交省担当記者の一人はこう語る。郵政民営化に次ぐ小泉改革の柱であった旧日本道路公団の民営化は、道路族議員や国交省道路局の徹底的な抵抗で骨抜きにされた。むしろ旧公団を東日本、中日本、西日本の三社に分割したことで、利権がアメーバのように増殖している。  中日本ハイウェイ・エンジニアリング(HE)東京。これは、笹子トンネルの事故を受けて、山・・・