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米国が「内向き」へ大転換

同盟諸国への影響きわめて甚大

2013年2月号特別リポート

 レオン・パネッタ米国防長官の後任にチャック・ヘーゲル元上院議員が指名された一月七日付米各紙には夥しい数の社説、評論、解説が登場した。その中の白眉は、コラムニストのデービッド・ブルックス氏がニューヨーク・タイムズ紙に書いた一文だろう。医療保険支出はニューヨークのラガーディア空港から飛び立つジェット機のように上昇し、今後十年で倍近くになる。財政支出全体の中での大問題で、負債額は三十年内に国内総生産(GDP)の約二五〇%だ。財源にするための増税は僅かしか期待できない。ヘーゲル氏の人事は上院で承認されるかどうか未定だが、オバマ大統領の意図は、共和党ハト派の同氏をして国防費に大ナタを振るわせようというところにある―との指摘だ。

 国防費の大幅削減は国際情勢全体の中で占めてきた米国の国柄を変え、社会福祉を重視する欧州諸国型になっていくだろうという。米国の力がにわかに衰退するとか、アジアに軸足(ピボット)を移したピボット政策が変更される兆しはないが、この国が世界的に展開している軍事力の配置はこのうえなく合理性を求められる事態が到来している。

 現に・・・