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経済

《クローズ・アップ》石崎芳行(東京電力福島復興本社代表)

福島第二再稼働を託された「何でも屋」

2013年2月号

 東京電力福島復興本社が一月一日に発足した。同本社の代表に就任した石崎芳行東電副社長は、福島第二原子力発電所の所長や立地自治体の窓口である立地地域部長を歴任し、「福島県に最も顔が利く人物」(東電関係者)。勝俣恒久前会長の薫陶を受けるなど社内主流派に位置してきたことから、同本社を通じて被災者に寄り添うという東電の姿勢は「本物」との見方が大半だ。一方、東電の内情に詳しい関係者からは別の見方も浮上する。同本社の裏の使命は、東電自身の復興に向けた重要ミッションの達成。つまり、福島第二原発の再稼働と廃炉・除染・賠償負担の「切り離し」だというのだ。

 東電は電気料金の値上げと国費の注入で急場をしのいだものの、依然として経営危機がくすぶり続けている。最大の理由は原発だ。東電は事故を起こした福島第一原発の四基以外に、同原発に二基、福島第二原発に四基、柏崎刈羽原発に七基を保有する。これらがまったく動いていないことが、経営の大きな重しになっているのだ。「柏崎刈羽が今年動かなければまた値上げ、福島第二が来年動かなければまた値上げと、東電は政官財に圧力をかけている」(東電の内情に詳しい関・・・