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経済

アベノミクスが破壊する地域金融

長期金利上昇がもたらす悪夢

2013年2月号

 安倍晋三政権が最大の政策課題と位置づけるデフレ克服に向けた大胆な金融緩和のアピールが円高修正、株価上昇という経済条件の改善をもたらしている。日本銀行も一月二十二日、政府との連携強化を打ち出して、インフレターゲットの導入に踏み切った。  その直後、緩和策を織り込んでいた株式相場は反落したとはいえ、まずは上々のスタートダッシュと言っていいだろう。だが、その裏では、早くも長期金利の上昇に対する警戒感が強まっている。メガバンクへの影響もさることながら、地方銀行、信用金庫といった地域金融機関への打撃は、まさに「壊滅的」と呼べるほどに深刻だ。

危険度高める膨大な「地方債」

 「とにかく、ヒヤヒヤしている」と、ある大手信金幹部は不安を隠さない。中小企業金融円滑化法が三月末で終了すれば、支援先である中小企業に対する貸倒引当金の積み増しが増大する。そうなれば、薄氷の利益も奪われて、二〇一三年度決算の赤字転落は不可避だ。  もともと信金には中間決算はない。九月末はあくまでも仮決算にすぎないため、同法終了を踏まえた貸倒引当金の前倒し的な積み増しはせずに済・・・