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経済

《クローズ・アップ》稲野和利(日本証券業協会次期会長)

野村の「トップ復帰」で地盤沈下は止まるか

2013年3月号

 二月上旬、日本証券業協会の次期会長に野村アセットマネジメント取締役会議長を務める稲野和利氏が就任することが内定した。

 稲野氏は一九五三年生まれの今年六十歳。東京大学法学部卒業後、七六年に野村證券入社、九七年に野村證券取締役、二〇〇〇年に同専務、〇三年に野村ホールディングス副社長。「氏家純一・元野村HD会長はかつて、野村證券の有力社長候補と発言」(兜倶楽部記者)しており、渡部賢一元社長らとその座を争った過去もある人物だ。〇九年には野村アセットマネジメント会長に就き、現在は経済同友会副代表幹事も務める。財界など証券業界の外にも幅広い人脈を持つとされるだけに、その対外発信力への期待もあるようだ。

 今年六月末に任期切れを迎える日証協会長は大和出身の前哲夫氏(元大和証券グループ本社副社長)で、野村グループの日証協トップ就任は約三年ぶり。大和出身の前会長は「具体的な成果に乏しく業界内での人望も決して高くなかった」とされるだけに、業界トップの野村出身者が返り咲くことで期待感はやはり大きい。インサイダー疑惑など度重なる不祥事で「証券不信」を助長させた元・・・